去界の虚解

自己正当化のための自己分析。長所が見つかろうと短所が見つかろうと、何もしない。そもそも自己分析で長所が見つかった試しなど無い。短所を見つけて、短所を見つめて、短所を煮詰めて。肥大していく劣等感。困るのは自分だけ。否。困っていることすらも、俯瞰視点から、見つけて、見つめて、煮詰めて。そんなことを永遠に繰返し、前には一歩も進まない。進めない。さながら音速の壁のように。あるいは数直線上の極限という幻想のように。限りなくイプシロンを見つけ、次のデルタに絶望する。
傷つきたくないが故に人と関わり、傷つきたくないが故に最後の一線は譲らない。他者に救いを求め、他者に救いは無いと断ずる。
歪んだ嗜好で人を傷つけ、外れた思考で人を見下し、たわんだ指向で人を遠ざける。そしてまた……


イプシロン、デルタ。その先には何もない。極限は予測できる。しかしそこには、たどり着くことさえできない。