比較

 文部科学相の諮問機関・中央教育審議会山崎正和会長が26日、東京・内幸町の日本記者クラブで記者会見し、倫理教育や道徳教育について「学校制度の中でやるのは無理がある。道徳教育は、いらない」と、授業で教えることに否定的な見解を示した。政府の教育再生会議は「徳育」の教科化を5月にまとめる第2次報告に盛り込むなど、道徳教育の強化を進める方針。山崎氏の発言は、「個人の意見」と断った上でのものだが、学習指導要領見直しの議論に一石を投じそうだ。

 山崎氏は「人の物を盗んではいけないかは教えられても、本当に倫理の根底に届くような事柄は学校制度になじまない」と話した。妊娠中絶や、競争社会で勝者と敗者が出ることなどを例に挙げ「学校で教えられるような簡単な問題ではない」と述べ、安易な道徳強化論にくぎを刺した。その上で、「代わりに順法精神、法律を教えればいい」と話した。

 山崎氏は「歴史教育もやめるべきだ。わが国の歴史はかくかくしかじかであると国家が決めるべきではない」とも指摘。「歴史がどうであったかは永久に研究の対象」と述べ、同じ事柄を正反対に記述した歴史文学2冊を読み比べさせることを提唱した。一方で「中教審会長としては委員の意見に耳を傾け伝達するだけ」として、自身の考えを、学習指導要領見直しを議論している教育課程部会の方向性に反映させる考えはないことを強調した。

東京新聞

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2007042790080734.html

今の世論からすればアナーキーだが、個人的には共感できる。
特に「同じ事柄を正反対に記述した歴史文学2冊を読み比べさせること」は良いと思う。
この文脈だと「歴史教育」という言葉が「プロパガンダを刷り込むこと」という意味で使われてるが、実際の今の歴史教育がそういう形になってしまっているのを皮肉ってるのかな。あるいは「歴史≠史実」という認識が前提にあるのかもしれないけど。
「歴史≠史実」という前提なら、俺は歴史教育なんぞはやめるべきだと思う。史実を教え、それをどう解釈するのか、その方法論を教えればいい。そういう意味で、「同じ事柄を正反対に記述した歴史文学2冊を読み比べさせること」にはとても意義があると思う。
これはある意味でメタ的な立場から見た意見なのだろう。自虐史観VS.自慰史観という構図ではなく、それを上から俯瞰し、自分自身の意見を持てる人間を育てるという。
世界的に見れば、こんな妙なことを考えるのは日本人くらいなのだろうけど。日本以外は、すべて「自分の国が正しい」という歴史観だというし。