日本辺境論

日本辺境論 (新潮新書)

日本辺境論 (新潮新書)

3月半ばに買って読んだ。こういう、何というか教養本のようなものを買うのは初めてだった。
内容的には今までの自分の発想には全く無かったことが多くあって、面白かった。
ページをめくると、いきなり

本書のコンテンツにはあまり(というかほとんど)新味がありません。

とか書いてあるけど、ぼくのような無教養な人間にはどれも目新しかったし、これまで持っていなかった概念をふんだんに取り入れることができたと思う。……んー取り入れられたかは微妙かなw もっと繰り返し読まないとダメかも。


読んでいて少し疑問だったのは、中華周辺蛮族の国名の話(p. 58)と、「漢倭奴国王」(p. 60)の話。
「四囲の蕃国は二文字で示され」(p. 58)るのであれば、「漢倭奴国王」は「漢の属国である『倭奴』の国王」と読むべきでは? 実際、匈奴には「奴」という字が付いているし、そちらの方が自然な気がする。
一方、金印の印影はそもそも「漢委奴国王」だった。つまり、「漢の属国である『委奴』の国王」が正しい?


漢委奴国王印 - Wikipediaによると、実際にそういう説もあるらしい。

印文は陰刻印章(文字が白く出る逆さ彫り)で、3行に分けて篆書で「漢〈改行〉委奴〈改行〉國王」と刻されている。印文の解釈として、以下が挙げられている。

  • 「委奴国」は「倭国」と同じで「やまとのくに」と訓じる説 - 亀井南冥[5]、竹田定良[6]
  • 「漢の倭(委)の奴(な)[7]の国王」説 - 落合直澄、三宅米吉[8]など
  • 委奴を「いと・ゐど(伊都国)」と読み、「漢の委奴の国王」とする説 - 藤貞幹[9]、上田秋成[10]、久米雅雄[11][12]、柳田康雄など

教科書などには「漢の倭(委)の奴(な)の国王」説が取られていたと思うし、そういう論争は本論とは関係ないので、一般的な解釈を取ったのだろう。