確率論

死刑存置とは「間違って殺しても仕方ない」ということ - good2nd
うん、「間違って殺しても仕方ない」でしょ。
単純にコスト面から見ても、かなりの高確率で凶悪犯罪者とみなされる人物たちをひたすら生かしておくだけで、大きな建物、厳重な警備、内部の職員、管理体制、衣食住に関わる雑事……。計り知れないコストがかかり、それらを負担するのは真っ当に働く国民なわけで。
感情面から言っても、被害者の気持ちに同情的になる方が(日本人としては)普通だと思える。冤罪は避けなければならない。ならないが、それは「努力目標」でしかないと思う。人が人を裁くのだから完全にはできない。少しでも完全に近づけるよう、努力するしかない。
これらの要素を覆して、死刑廃止ができる、というのなら、そこには信念が必要だろう。あらゆる……とまではいかなくとも、多大なコストを払い、耐えがたきを耐え忍びがたきを忍んでまでも、通したい信念が。
EUがそれをする、それができるのは、キリスト教という信仰があり、そして「我々が最も先進的で優れた人類で、他の民族は野蛮だ」という白人至上主義・西欧至上主義から来ているのだろう、と思う。これは全くの妄想ではあるけれど、あながち間違っていないんじゃないだろうか。


「間違って殺しても仕方ない」は、「間違って殺されても仕方ない」にも繋がる。もし、自分が冤罪で死刑となったら、自分自身、絶対に納得はしないだろう。しないが、そのこととは関係ない。たった一人の人間の意見は公共の福祉の前には黙殺されてしかるべき。民主主義を認めるならば。

id:hit-and-run 「痴漢冤罪で人生めちゃくちゃにされる」系の話とブクマの流れ違いすぎてワロタ。言っとくけど、同じ話をしてるんだよ? 2009/06/07

はてなブックマーク - hit-and-runのブックマーク / 2009年6月7日

似た話ではあるが、同じ話ではないでしょ。たくさんスターついてるけど。
痴漢冤罪の話は、物的証拠もなく、明確な状況証拠ですら出しにくいことから男性側の主張が認められにくく*1冤罪率が高い、ということを問題視されているはず。本当に痴漢行為があったケースで、「それでもその男を許そう」とか、「減刑しよう」などと言う論者は皆無なのでは?
もっとも、

殺されてしまったら、こうして声を震わせて怒りを語ることができないじゃないですか。

死刑存置とは「間違って殺しても仕方ない」ということ - good2nd

というのと同じくらい、誰にも話を聞いてもらえなくなってしまう、と考えれば、類似性があるのは確かだと思う。
死刑判決が出るような大事件であれば間違いなく大きく報道され、それだけに検証作業も慎重にされるでしょう。多くの場合、2審3審まで進むことも考慮に入れれば、冤罪というのはかなり起こりにくいシステム。
痴漢行為による有罪判決はそうではないのではないか? 冤罪のケースが多いのではないか? というのが、痴漢冤罪問題の主眼。
言ってみれば確率の問題だけど、その差は大きいと思う。
件のブコメは、テキトーな類推でミスリードしているようにしか見えない。

*1:ここでも「被害者の気持ちに同情的になる」国民性が出ている。