第22回定期演奏会

終わりました。今日の日記は長い&クサいので、お近くのギップルは避難しておくように(ぉ

前日

私は悩んでいました。
「果たして自分は、指揮者として団員の信頼を得ているのか?」
以前からずっと悩んでいたことではありますが、結局前日の夜まで悩んでいたわけです。
考えれば考えるほど、自分がどうしようもなく思えてくるのです。こんな人間が信頼を得られるはずがない、と。
しかし、前日。その日に行なう予定だった準備が終了し、クラブハウスに帰り、だべったりしながらグダグダし、やまない雨に辟易しつつ、夕食を買いにミニストップに行ってから、自分の部屋へ向かう途中。


ふと、思ったのです。
「信頼を得ているかどうかは関係ない。自分が、みんなを信頼するかどうか、だ」
と。


もちろん、これは詭弁に過ぎないわけです。信頼を得ていなければ、うまくいかない。
でも、実際に、今までの合奏で、私が言ったことには、みんなが応えてくれていました。まだ楽器を始めて日が浅く、その人にとって技術的に難しかったとしても、指示に応えようとがんばってくれていました。きっと、みんなの信頼は得ていたのです。
ただ、私だけが安心できずにいました。本当に、大丈夫なのか? これで良かったのか? みんなの期待は別のところにあるのではないか?
しかし、このとき、ついに吹っ切れたような気がしました。みんなを信じよう、絶対に応えてくれる……と。

当日

本番当日。夜はあまり寝られず、5時頃目を覚ましたりしていました。最終的に起きたのは7時でした。
今年は例年とは違って土曜開催のため、厳しいスケジュールでした。その日のうちに、3部チェック、1部チェック、リハーサルを行なった上で、本番を迎えなければなりません。
しかし、ここはスムーズに進みました。正直なところかなりの不安がありましたが、なんとか時間内に収められました。
そして開演直前。既に昨年よりも多くの人が来てくれていることがわかりました。このとき、私はいつにもまして責任感を感じ……たりはしていませんでした。本当にハイな気分で、素直に嬉しかったのです。
全員で、あるいはパートごとに、気合入れをして、舞台袖へ。そして奏者入場。下手から入場する全員を笑顔で送り出します。……本当は笑顔だったかどうかなんてわかりません。でも気持ちとしては、本当に晴れやかな気分でした。
そして指揮者入場。姿勢には気をつけて。視線は上に。大股気味で普段がどうしようもなく猫背なだけに、歩き方には気を使ったつもりです。

開演

そして、開演。
第1部、1曲目"A Huntingdon Celebration"。何も不安はありませんでした。信じていたから。本当に楽しく指揮を振れました。
遮るものは何もありません。普段練習しているクラブハウスでは、上に振り上げると天井に棒が当たるので、狭くるしく振るしかなかったのですが、ホールではそんな心配は無用です。本当にのびのびとしていました。
以前は、指揮者は奏者達をコントロールするものだと思っていました。しかし、今は違います。指揮者は、奏者を信じて、自らのイメージを身体で表現するものなのです。コントロールだなんて、おこがましいにも程がある。そんなことは考えなくていい。ただ、表現するだけ。それを音楽として聴衆に伝えるのは、奏者に任せればいいし、任せるべきなのです。

2曲目「ぐるりよざ」。龍笛の演奏効果は、完全に聴衆の心を捉えるだろうと確信していました。ただ、シンフォステージで照明効果を使うのが受け入れられるかどうかが、唯一不安な点でした。照明を使おう、と言い出したのは先生でしたが、あの照明効果を考えたのは主に私なので……。
しかし、結局それは杞憂でした。1楽章の終わりで、クラリネットの入りと共に照明がフェードアウトするのも、ホルンのSoliが入るところで明るくなるのも、2楽章最後のシーンの前にフェードアウトしていくのも、完璧でした。これならイケる!と思いました。


第2部。反応のいいお客さんばかりでした。とても盛り上がりました。こんなステージは、他のどの大学も作れないと確信しました。うちの団だからこそ、できるステージだったのだ、と。唯一の心残りはブレーキ音を大失敗したことorz


第3部。
「サタデーナイト」は完璧なノリでした。昨年の「ラ・バンバ」に全く劣らないと思いました。
「虹の彼方に」はちょっと残念。何よりも、最後のCadenza明けを振り間違えたことがorzホントに申し訳ない……
「Memories of Henry Mancini」は上々のでき。たくさんのソロも、すべてうまくいった*1ムーン・リバーが終わって、クライマックスに入ってから、ふと気付きました。最後のフェルマータの切り方を決めてない。でも「まぁいいかぁ。適当にグイッと」と思いました。その結果がアレです。予想外に好評でした。本当にラスト8小節くらいで振りながら考えたものだったのですが(笑
「Dear Mr. Jones」。ここまで来ると、もうみんな疲れ果ててるんじゃないかと思ってましたが、そんなことはなく、最後までパワフルな演奏ができたと思います。やはり70人近い人数がいると、負荷が分散できていいのかもしれません。
プログラム上の曲はこれで終了。そして拍手を受けます。この拍手が本当に温かかったんです。他の演奏会を聴きに行くと、「とりあえず終わったけど、まぁアンコールがあるだろうから一応まだやめないでおくか」って感じの拍手が結構多かったりするのですが、そういう感じは微塵もありませんでした。盛大な拍手で、途中からアンコールを催促するような手拍子も混じっていました。
そしてアンコール1曲目「君をのせて」。ゲネプロが終わってから追加した曲。確か2回くらいしか合奏しておらず、ちゃんと通したのは本番の時点でも5回目くらいだと思いますが、いい雰囲気でした。みんな知ってる曲ですし。
「ヤマト」。もう恐れるものは何もありませんでした。始める前に先生と握手して、礼をして、一気にスイッチが入りました。今までで一番いい指揮が振れていたのではないかと思います。「アンコールで一番いいのかよw」って感じですが、あの瞬間、確かに自分の中に、何かの成長がありました。
そして終演。拍手がとても長く感じました。こんなに素晴らしい拍手をもらったのは初めてでした。しかも自分が指揮者なのです。これ以上の感動はありません。

終演後

終わったのは20:11でした。21:00までしか会場は借りていません。怒濤のように片付けました。
片付け終わったのは20:52頃。この時点で確認はまだ終わってませんでしたが、やればできるもんだと思いました。
そして、打ち上げ会場へ行くため、路線バスで駅前へ。バスの中ではぐったりとしていました。疲れがどっと出て、もう首を真っ直ぐ立てるのも億劫なくらいでした。


打ち上げでは、みんな泣いていました。指揮者の先輩Kさんには「最高の後輩だ」と言ってもらえました。Kさんには以前、「卒団生が泣ける定演を目指すといいよ」と言われていましたが、その通りに出来ました。
もちろん、その涙は、企画ステージによるものだったのかも知れませんし、先生の指揮で演奏した曲によるものだったのかもしれません。でも、ほんの数%でも私の力が貢献できていればいいと思います。そういう素晴らしい演奏会を作るのに貢献できたのなら満足です。


打ち上げ会場から出ると、ソツダンド・バンドパーポー*2が待っていました。卒団生一人一人がメッセージを書いていて、感動しました。
それには、漫画「SUGA-MAN」最終回も載っていました。これを描いている先輩は、以前「最終回はいろんなジャンプ漫画の打ち切りパターンを使って、最後には『しお☆こんぶ先生の次回作にご期待ください!』を入れる」と言っていましたが、最後の言葉はありませんでした。
即座にツッコもうと思いましたが、ふと気付きました。……その先輩はもう卒団してしまうんです。バンドパーポーに「次回作」を載せることは、もうないのです。……それに気付いて、寂しくなりました。


2次会ではクロークを開けました。いろんな人が観に来てくれていました。
アンケートを読みました。好評なのがほとんどでした。大抵は、もっと辛辣な意見がいくつか見えたりするものですが、そういうのはほとんどありませんでした。そして単純に枚数が多い! 如何に多くの人が来てくれたか、実感しました。
本番のビデオを見ました。うちの場合、ビデオ撮影は業者に頼まず、家庭用のビデオカメラで撮っているので、すぐに見られるのです。
……凹みました。なんだこの凄まじい高速演奏は。明らかに私のテンポが速いからなのですが。Huntingdonは指定はテンポ152なのですが、ちょっと遅く144でやります、と言っていたのに結局152以上になってるじゃないか! 振り始めた直後「あれ、ちょっと遅いかな。いや、大丈夫、こんなもんだ」とか思ってたくらいなのに。
その後も、どの曲を聴いても全部速い! なんたるテンポ感覚のなさ。振ってる最中も「ちょっと速いな」とか思ってたヤマトなんかは、もうどうしようもないほど速い。
……でも、みんな吹きやすかったと言ってくれました。結局のところ、吹きやすいテンポがあるというよりは、指揮者が吹きやすい振り方・ノリでいれば、吹きやすくなるってことなのかも知れません。


そして、明け方になって部屋に帰ってきて、一応歯を磨いて寝ました。起きたら日曜日の20:30頃でした。


指揮者として活動してきたこの1年半、人間的にも、音楽的にも、大きく成長できたような気がします。指揮者としては未熟な点も多々あり、性格的な問題もいくつもあります。でも以前よりは確実に、成長できたのです。
指揮を振るという、貴重な機会をくれ、最後までついてきてくれた団員の皆さん、ありがとうございます!!
そして、当日観に来てくださった皆様、本当にありがとうございました!!

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄○ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                O 。
                 , ─ヽ
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*1:このときは本当にそう思ったんです。EbClもTbもT.SaxもA.SaxもObもF.H.もHrもTpも完璧でした

*2:卒団生が作ったバンドパーポー号外。バンドパーポーってのは団内の機関誌みたいなもの。